VONDS JOURNAL / 計測・分析・改善

ヒートマップ分析の使い方|クリック・スクロールから改善の仮説を作る

色の分布を、実際のページを調べる手がかりにする。

離脱候補ポイントを調べる手順

離脱候補ポイントを調べる手順範囲:到達の変化を確認。画面:前後の説明と操作を読む。照合:入口・端末・移動を確認。仮説:次に確かめることを書く01範囲到達の変化を確認02画面前後の説明と操作を読む03照合入口・端末・移動を確認04仮説次に確かめることを書く
色が変わる直前の要素が原因とは限らないため、他の記録と照合して仮説として扱う流れです。

ボタンが押されない、説明の下部まで到達されない。ヒートマップは、ページ内で記録された操作を位置ごとに見る道具です。クリック・スクロール・滞在の違い、導入時の設定、実画面との照合、変更後の比較を解説します。

色が示すのはツールが記録した行動です。利用者の気持ちや原因を直接測るものではないため、凡例と計測条件、実際の操作を合わせて確認します。

数値を読み解く作業をイメージしたグラフの資料と電卓
数値を読み解く前に、対象と比較条件をそろえます。(イメージ写真)写真:Cht Gsml / Unsplash
この記事でわかること 全9テーマ
  1. 01ヒートマップ分析とは?ユーザー行動を「色」で見る技術
  2. 02なぜアクセス解析だけでは足りないのか
  3. 03ヒートマップで分かる3種類のデータ
  4. 04到達が少なくなる場所を調べる
  5. 05ファーストビューの確認と改善
  6. 06中小企業がヒートマップ分析を始める手順
  7. 07改善を成果につなげる「仮説検証」の回し方
  8. 08よくある失敗パターン
  9. 09対象のページと、知りたいことを用意する

01ヒートマップ分析とは?ユーザー行動を「色」で見る技術

ヒートマップは、ページ内の位置ごとの行動を色で表す方法です。クリック、スクロール、画面の表示時間など、選んだ種類によって意味が変わります。まず利用するツールの凡例と、集計対象を確認します。

色を見る前の確認
観点確認すること
種類クリック・スクロール・滞在のどれか
凡例色や数値が何を表しているか
条件対象URL、期間、端末、入口を確認

ヒートマップが可視化する3つの行動

ここではクリック、スクロール、アテンションの3つを扱います。使える種類や定義はツールで異なるため、名称だけで同じ記録と考えず、公式の説明を確認してください。

ヒートマップが記録する3つの行動と、読み取れる範囲・読み取れないもの
種類記録の対象読み取れないこと
クリッククリック・タップの位置押した理由そのもの
スクロール表示が到達した深さ実際に読んだかどうか
アテンション領域が表示されていた時間熟読や関心の確定

ページを下へ送ったことは読了の証拠ではなく、画面が止まっていることも関心の証拠ではありません。記録と実画面を照合し、何が理由として考えられるかを書き出します。

Microsoft Clarityの公式説明では、クリックやスクロールなどの行動を可視化し、反応がある領域や問題のある箇所を調べられるツールとして紹介されています。 出典:Heatmaps overview | Microsoft Learn

02なぜアクセス解析だけでは足りないのか

GA4では閲覧、入口、経路、設定したイベントを確認できます。ヒートマップでは、対象ページ内の位置ごとの記録を確認します。問いに応じて使い分けると、調査する場面を絞れます。

アクセス解析とヒートマップの役割の違い
観点アクセス解析ヒートマップ
集計の見方ページやイベントなどの軸で比較表示領域や要素の位置で比較
入口となる問いどのページ・入口で変化があったかそのページのどこが操作されているか
照合先実際の受付やサイトの操作GA4の記録と実画面

GA4の直帰率は、エンゲージメントのないセッションの割合です。1ページだけ見て離れた割合とは異なります。直帰率が高いことだけで、内容やフォームが原因と決めないようにします。

数値と画面を合わせるときの問い
観点確認すること
対象同じページ・端末・期間を見ているか
目的利用者が必要とする情報や操作は何か
確認問題と考えた箇所を実際に操作したか

GA4のエンゲージメント率と直帰率の定義は、Google公式の指標説明を参照しています。 出典:GA4 エンゲージメント率と直帰率

03ヒートマップで分かる3種類のデータ

見る場所を決めたら、記録の種類に合う質問を立てます。色だけで直す場所を選ぶのではなく、次に何を操作・確認するかまで決めます。

クリックヒートマップ(どこが押されているか)

クリックの分布から調べること
観点確認すること
リンクでない要素が押される見た目と実際の操作が合っているか試す
ボタンの操作が少ない必要性、表示位置、移動先の説明を確認
繰り返し押される反応の遅れや押せない状態がないか試す

スクロールヒートマップ(どこまで表示が進んだか)

スクロールでは、ページの各位置まで表示された割合などを確認します。必要な情報への到達が少ない場合は、その情報をどこで案内し、ページ内でどう進めるかを調べます。

アテンションヒートマップ(どこに滞在があったか)

アテンションでは、領域がどのくらい表示されていたかを確認します。長い滞在があっても、熟読、迷い、離席のどれかは記録だけで分かりません。短い滞在でも情報を得られた可能性があります。

滞在の記録を、実画面で確かめる
記録次に確認すること
特定領域が長い文章・図・操作に分かりにくさがないか
情報がある領域が短い必要な説明へ別の案内から進めるか
端末で違う表示される情報量と操作条件が違うか

Microsoft Clarityでは、クリック・スクロールなどに加えアテンションマップも利用できます。記録の対象を確認し、同じページを違う種類で読むときも、期間と端末を合わせます。

アテンションマップが扱う表示時間の情報は、Microsoftの公式資料を参照しています。 出典:Microsoft Clarity: Attention maps

04到達が少なくなる場所を調べる

スクロールの分布で変化が見つかったら、調査する領域を選びます。その位置をそのまま離脱理由とせず、情報・操作・表示の条件に分けて確かめてください。

離脱候補ポイントの特定方法

到達の減少が目立つ区間では、前後の内容だけでなく、ページ長、端末、入口、途中のリンクも確認します。別のページへ必要な情報を読みに進んだ可能性もあるため、経路と合わせて見ます。

文章の量や専門用語を調べるときは、その説明が必要な読者を想定します。短くすることだけを目標にせず、見出しや図表、関連ページの案内で必要な情報へ到達できるか検討します。

境界線の直前に確認する要素と記録しておく条件
確認対象具体的な確認内容
文章の量その区間の文章が読み進める負担になっていないか
用語説明なしの専門用語が連続していないか
レイアウト詰まった表示や見出し不足で読みにくくないか
観測条件期間・入口・端末・期間中のページ変更を記録したか

05ファーストビューの確認と改善

ファーストビューは、開いた直後に見える範囲です。端末の高さでも範囲が変わるため、何のページか、続きに何があるか、どの操作へ進めるかを実際に確認します。

画面の構成と操作を整理する手描きのワイヤーフレーム
最初に見える情報と、次に進む操作を整理します。(イメージ写真)写真:Compagnons / Unsplash
最初の画面を比較するときの条件
観点確認すること
入口検索や広告で案内した内容と合うか
端末画面の幅・高さで説明が欠けないか
表示中読込中のずれや重なりがないか
ファーストビューの点検項目
点検項目確認する内容
何のページかページの対象・提供内容が一目で分かるか
誰向けか想定読者が自分ごととして捉えられるか
次の行動続きを読む・問い合わせるなどの導線が見えるか
表示の崩れ主要な端末サイズで表示が崩れていないか

変更点を絞ると、何を比較したか説明しやすくなります。複数の変更をまとめた場合は、その組み合わせ全体の比較として扱い、個々の要素の効果を推定で決めないようにします。

06中小企業がヒートマップ分析を始める手順

対象は、調べたい問いと作業できる範囲から決めます。アクセスが多いページだけでなく、受付につながる操作に不具合があるページなど、問題の影響も考慮します。

分析対象ページの選び方

分析するページを選ぶ基準
観点確認すること
問いどの操作や説明に困っているか
観測対象条件のデータを確認できるか
影響問題が情報到達や受付に関係するか
対応見つかったことを修正できる担当がいるか

ツールの導入とタグ設置

導入時は、対象のツールでプロジェクトとタグを用意し、既存の設置方法と合わせます。利用条件、計測できる項目、権限を確認し、同じタグを重ねて設置しないようにします。

計測を始める前の設定確認
観点確認すること
対象どのページと操作を記録するか
マスキング表示内容のうち、保存しない情報を隠す設定
同意と案内利用者への説明と計測の動作
権限記録を閲覧・設定変更できる担当者

導入から最初の調査へ

導入から最初の調査へ選ぶ:対象ページと問いを決める。設定:タグと情報の取扱いを確認。試す:自分の操作が記録されるか確認。読む:種類・期間・端末を合わせる。決める:次に調べる箇所を選ぶ01選ぶ対象ページと問いを決める02設定タグと情報の取扱いを確認03試す自分の操作が記録されるか確認04読む種類・期間・端末を合わせる05決める次に調べる箇所を選ぶ
計測開始後も、画面に個人情報などを不要に記録していないか確認します。

Clarityのマスキング設定は、新しい記録へ適用され、過去の記録へさかのぼって変更するものではありません。入力欄以外にも個人情報が表示される画面があるため、計測する前に対象を点検します。

Clarityのマスキングが保存しない情報を指定することと、変更が新しい記録に適用される点を公式資料で確認しています。 出典:Microsoft Clarity: Masking content

07改善を成果につなげる「仮説検証」の回し方

仮説、変更内容、観測した条件を残します。記録の変化と、実際の情報到達や受付を照合し、次の作業を決めてください。

課題と手順を付箋で整理するホワイトボード
観察と仮説を分け、確かめる変更を決めます。(イメージ写真)写真:Paymo / Unsplash

数値の前後比較で効果を測る

変更前後で対応させる記録
観点確認すること
操作クリック・到達・入力のどこを比較するか
目的の行動受付など、ページが果たす役割も確認
実画面同じ情報をどの配置で示していたか

前後の差には、季節や広告、端末の構成などの違いも含まれます。今回の変更だけが原因と決めず、比較条件を残して読みます。

前後比較の際に記録しておく項目
記録項目記録する理由
観測期間期間の違いで数値が変動するため
入口・参照元流入経路が変わると行動も変わるため
端末の内訳スマホとPCで表示と行動が異なるため
ページ変更履歴改善以外の変更の影響を切り分けるため
観測量データ量が少ないと偶然の偏りに左右されるため

ABテストを行う場合は、対象と比較案、指標、判定方法を別に設計します。単に時期の違う数字を比べる方法とは分け、差の不確かさや実際の用途も考慮してください。

Firebase A/B Testingの公式説明では、対象とバリアントを設定し、目的に合う指標で実験結果を比較する仕組みとして紹介されています。厳密な効果比較を行う場合の設計の参考になります。 出典:Create Firebase Remote Config Experiments with A/B Testing  |  Firebase A/B Testing

仮説検証のサイクル

仮説検証のサイクル記録:変更前の条件と値を残す。変更:理由と実施内容を記録。照合:同じ対象の画面と値を見る。判断:次の確認・修正を決める01記録変更前の条件と値を残す02変更理由と実施内容を記録03照合同じ対象の画面と値を見る04判断次の確認・修正を決める
データ量や期間だけの固定基準を置かず、比較で分かった範囲を記録します。

08よくある失敗パターン

調査と判断がずれていないか、次の表で点検します。記録が少ない場合は結論の範囲を限定し、確認済みの操作不具合と、追加観測が必要な仮説を分けます。

よくある失敗パターンと回避策
失敗パターン起きる問題回避策
複数変更を個別効果とするどの変更が関係したか分からない変更点を絞るか、組み合わせ全体の結果として扱う
少ない記録で一般化する対象や偶然の偏りが混ざる条件と不確かさを残し、必要な追加確認を決める
色の変化だけで原因を断定する見当違いの改善に進む可能性がある複数の記録と照合し仮説として扱う
前後比較だけで効果を確定する期間要因や他の変更と混ざる観測条件を記録し、必要に応じてABテストを設計する
プライバシー設定を未確認で運用する個人情報の取扱いに問題が生じる可能性がある匿名化・マスキング・同意の設定を担当者と確認する
調査結果を共有する書き方
観点確認すること
観察何が、どの条件で記録されていたか
仮説理由として何を考えたか
次の作業何を確認・変更するかと担当者

09対象のページと、知りたいことを用意する

ヒートマップではページ内の操作を調べ、GA4や受付の記録と照合します。色の分布から仮説を作り、実際の画面で確認することが改善の出発点です。

相談時に共有する情報
段階行うこと
対象ページURLと、気になっている操作
記録使用ツール、期間、端末、入口
変更履歴いつ、どこを直したか
目的情報到達や受付で、何を改善したいか

まず、調べたいページで利用者にしてほしい行動をひとつ書いてください。その行動をどの記録と実操作で確かめるか決めると、見る場所を絞れます。

相談の際は、対象ページのURL、現在のアクセス状況、これまでに実施した改善内容をまとめておくと、状況の共有がスムーズになります。

自社の状況を相談する
株式会社オフィスVONDS 代表取締役 小沢宗弘

AUTHOR & EDITOR

原著:小沢 宗弘

山梨県甲府市を拠点に、ホームページ制作・SEO支援・Web広告運用に取り組んでいます。

再編集:株式会社オフィスVONDS
Microsoft ClarityとGoogleの計測・実験に関する公式資料を参照しています。

代表プロフィール・会社案内

参照した一次資料

実務の進め方はVONDS編集部の整理です。本文で参照した仕組み・手順は、次の公式資料で確認しています。

  1. Heatmaps overview | Microsoft Learn確認日:2026年9月7日
  2. Create Firebase Remote Config Experiments with A/B Testing  |  Firebase A/B Testing確認日:2026年9月7日
  3. GA4 エンゲージメント率と直帰率確認日:2026年9月7日
  4. Microsoft Clarity: Attention maps確認日:2026年9月7日
  5. Microsoft Clarity: Masking content確認日:2026年9月7日

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