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「ホームページを作りたいけど、いくらかかるのか見当がつかない」。中小企業の経営者やWeb担当者から、最も多く寄せられる相談がこの費用の問題です。

実際、ホームページ制作の費用は5万円から500万円以上まで幅があります。同じ「コーポレートサイト」でも、依頼先や仕様によって10倍以上の差が生まれることも珍しくありません。相場を知らずに依頼すると、必要以上に高額な契約を結んでしまったり、逆に安さだけで選んで成果の出ないサイトができあがったりします。

この記事では、目的別・制作方法別の具体的な料金目安と、見積もりの読み方、そして限られた予算で最大の成果を得るための依頼方法を解説します。読み終えたあと、自社に最適な予算配分がわかる状態を目指します。

ホームページ制作の費用相場はなぜ「幅」があるのか

費用を決める3つの変数

ホームページ制作の費用は、主に3つの要素で決まります。ページ数機能の複雑さデザインのオリジナル度。この3つの掛け算で、最終的な見積もり金額が形成されます。

たとえば5ページの会社紹介サイトと、50ページの採用サイト+予約機能付きでは、必要な工数が全く異なります。テンプレートを使うか、ゼロからデザインを起こすかでも、デザイン費だけで20万〜100万円の差が出ます。

約30万〜150万円 が中小企業のコーポレートサイト制作費の中央価格帯(総務省「通信利用動向調査」等の複数調査を総合)

「安い=悪い」ではないが、安さには理由がある

5万円台のホームページ制作サービスも存在します。これらは多くの場合、テンプレート利用・ページ数限定・サポート最小限という条件付き。事業内容を伝える最低限のサイトであれば、十分に機能します。

一方で、集客やブランディングを目的とするなら、設計段階から戦略を組み込む必要があります。この「設計・戦略の工程」が費用の差を生む最大の要因です。

費用の大小を決めるのは「ページ数」「機能の複雑さ」「デザインのオリジナル度」の3要素。自社に必要な要素を明確にすることが、適正予算を知る第一歩。

見積もりが会社によって違う根本的な理由

制作会社A社が80万円、B社が200万円。同じ要件なのになぜこれほど差が出るのか。理由は「工程の含み方」にあります。

A社はデザインと実装のみ。B社は競合調査、サイト設計、SEO対策、アクセス解析の初期設定まで含む。見積書の合計額だけを比べても意味がありません。どの工程が含まれ、どの工程が別料金かを確認することが重要です。

制作方法別の費用比較|自作・フリーランス・制作会社

自作(ノーコードツール・WordPress)の費用感

Wix、Jimdo、STUDIOなどのノーコードツール(プログラミング不要でサイトを構築できるサービス)を使えば、月額1,000〜3,000円程度で自作が可能です。WordPressの場合は、サーバー代(月額500〜1,500円)+ドメイン代(年額1,000〜3,000円)+有料テーマ(1万〜2万円)が初期費用の目安。

ただし、自作には「見えないコスト」があります。デザインの調整、文章の作成、SEOの基本設定。これらに費やす時間を時給換算すると、数十時間=数十万円相当の労力がかかることも。本業の時間を削ってまで自作すべきかは、冷静に判断が必要です。

フリーランスに依頼した場合の相場

フリーランスのWebデザイナーやエンジニアに依頼する場合、コーポレートサイト(5〜10ページ)で15万〜50万円が一般的な相場です。クラウドソーシング経由だと5万〜20万円で受ける方もいますが、品質とサポートにばらつきがあります。

フリーランスの強みは、制作会社より中間マージンがない分、コストを抑えられること。一方で、体調不良や廃業時のリスク、対応範囲の限界(デザインはできるがSEOは専門外、など)には注意が必要です。

制作会社に依頼した場合の相場

Web制作会社の場合、コーポレートサイトで30万〜150万円、ECサイトで100万〜500万円以上が相場帯です。大手制作会社やブランディングに強い会社では、コーポレートサイトでも300万円を超えるケースがあります。

約58% の中小企業がホームページ制作を外部に委託(中小企業庁「中小企業白書」IT活用実態調査より)

制作会社の利点は、ディレクター・デザイナー・エンジニアのチーム体制で品質が安定すること。戦略設計からSEO、公開後の運用まで一貫対応できる点も、社内にWeb専任者がいない中小企業にとっては大きなメリットです。

自作は費用最小だが時間コスト大。フリーランスはコスト効率が良いが属人リスクあり。制作会社は品質安定だが費用は高め。「自社のリソース」と「求める成果」のバランスで選ぶ。

目的別の料金目安|5つのパターンで解説

名刺代わりのコーポレートサイト

会社概要・事業内容・アクセス・お問い合わせの4〜6ページ構成。最もシンプルなパターンです。

費用目安:15万〜50万円

テンプレートデザインなら15万〜30万円。オリジナルデザインで30万〜50万円。「とにかく名刺代わりにWebサイトが欲しい」という場合はこの範囲で十分です。制作期間は1〜2か月が目安。

集客を目的としたサービスサイト

SEO対策を施し、問い合わせや資料請求の獲得を狙うサイト。サービス紹介・事例・コラム(ブログ機能)を含む10〜20ページ構成が一般的です。

費用目安:50万〜150万円

この価格帯では、競合調査・キーワード設計・コンテンツ設計が含まれます。ブログ機能(CMS)の導入費用も含むのが通常です。制作期間は2〜4か月。公開後のSEOコンテンツ追加を見据えた設計が重要になります。

ECサイト(ネットショップ)

商品の販売機能、決済システム、在庫管理、顧客管理を備えたサイトです。

費用目安:50万〜300万円

Shopify(月額約4,000円〜)やBASE(初期費用無料)などのASP型(クラウド型ECプラットフォーム)を使えば50万円前後から。独自開発のフルスクラッチなら200万〜500万円以上。商品数が100点以下ならASP型で始め、成長に合わせて移行するのが合理的です。

採用・リクルーティングサイト

求職者向けに企業の魅力を発信する専用サイト。社員インタビュー、職場環境、福利厚生、募集要項などを掲載します。

費用目安:50万〜200万円

写真撮影・動画制作を含む場合は100万円を超えることが多くなります。採用コストの観点でいえば、求人媒体の掲載費(1回30万〜100万円)を年に数回払うよりも、自社採用サイトへの投資のほうが中長期で回収しやすいケースが増えています。

ランディングページ(LP)

ランディングページとは、広告やSNSからの流入を受け、特定のアクション(問い合わせ・購入・資料請求)に誘導する1枚完結型のページです。

費用目安:10万〜60万円

構成案の作成、コピーライティング、デザイン、コーディングが主な工程。広告運用とセットで依頼する場合は、LP制作費を割引く制作会社もあります。A/Bテスト(2パターンを比較して効果の高い方を採用する手法)を前提にした設計だと、改善サイクルが回しやすくなります。

目的が「名刺代わり」なら15万〜50万円、「集客」なら50万〜150万円、「EC」なら50万〜300万円が目安。最初に「何のためのサイトか」を定義するだけで、予算の無駄遣いを防げる。

見積もりの内訳|何にいくらかかるのか

制作費の7つの構成要素

ホームページ制作の見積書に登場する主な項目と、それぞれの費用感を整理します。

  1. ディレクション費(全体の10〜20%):要件定義、進行管理、クライアントとの打ち合わせ
  2. デザイン費(全体の20〜30%):トップページ3万〜15万円、下層ページ1万〜5万円/ページ
  3. コーディング費(全体の20〜30%):HTMLやCSS、JavaScriptでの実装。レスポンシブ対応(スマートフォン表示の最適化)を含む
  4. CMS構築費(5万〜30万円):WordPress等の導入・カスタマイズ
  5. コンテンツ制作費(1ページ1万〜5万円):文章作成、写真撮影、素材購入
  6. SEO初期設定費(3万〜15万円):メタタグ設定、構造化データ、サイトマップ作成
  7. テスト・公開作業費(3万〜10万円):ブラウザテスト、表示確認、サーバー設定
見積書に「一式」としか書かれていない場合は要注意。各工程の単価と工数が明記されていない見積もりは、追加費用が発生するリスクが高い。必ず内訳の明示を求めること。

見落としがちな「公開後」の費用

制作費だけでなく、公開後のランニングコスト(運用費用)も事前に把握しておく必要があります。

年間の運用コストとして6万〜50万円程度を見込んでおくのが現実的です。自社で更新できるCMSを導入しておけば、更新費用を大幅に削減できます。

契約形態による違い|一括払いとサブスク型

近年増えているのが、初期費用ゼロ・月額定額制のサブスクリプション型ホームページ制作サービスです。月額1万〜5万円で、制作からサーバー・保守まで含むモデルが一般的。

一見お得に見えますが、3年間の総額で計算すると36万〜180万円になります。さらに、解約時にサイトのデータを引き渡してもらえない契約も存在します。契約前に「解約後のデータ所有権」を必ず確認してください。

中小企業庁「小規模企業白書」によると、ホームページを持つ小規模事業者は持たない事業者と比較して、販売先数の増加を実現した割合が約1.5倍高い。

費用を抑えて成果を出す5つの方法

RFP(提案依頼書)を自社で用意する

RFPとは、制作会社に「こういうサイトを作りたい」と伝えるための要件書です。以下の項目を事前に整理しておくだけで、見積もりの精度が上がり、不要な工程への課金を防げます。

RFPがあると、制作会社側も正確な見積もりを出しやすくなります。結果的に「あとから追加費用が膨らむ」事態を防ぐ効果があります。

素材の自社準備とテンプレート活用

費用を最も圧縮できるのが、写真・テキスト素材の自社準備です。プロカメラマンの撮影を依頼すると5万〜15万円かかりますが、スマートフォンの高画質カメラでも、自然光のもとで撮影すれば十分にWebで使えるクオリティが得られます。

デザインについても、完全オリジナルにこだわらなければ、テンプレートベースの制作で10万〜30万円のコスト削減が可能。テンプレートといっても、カラーやレイアウトのカスタマイズで自社らしさは十分に表現できます。

補助金・助成金の活用

中小企業がホームページ制作に使える公的支援制度は複数あります。

補助金は「先に自費で支払い、審査後に補助額が振り込まれる」後払い方式がほとんど。申請から入金まで半年〜1年以上かかるため、資金繰りとして当てにせず、あくまで「戻ってきたらラッキー」くらいの位置づけで計画すること。
費用を抑える最大のレバーは「RFPの事前準備」と「素材の自社用意」。この2つだけで見積もり総額の20〜30%を削減できるケースが多い。

制作会社選びで失敗しないためのチェックポイント

見積もり比較で見るべき5つの項目

複数社から見積もりを取る「相見積もり」は必須です。ただし、金額の安さだけで比べると判断を誤ります。以下の項目を横並びで比較してください。

実績・ポートフォリオの正しい見方

制作会社のWebサイトに掲載されている実績は、当然ながら「うまくいった案件」だけが並んでいます。確認すべきは以下の3点。

自社と同じ業種・規模の制作実績があるか。飲食店のサイトが得意な会社に製造業のサイトを頼んでも、業界理解の深さが不足するリスクがあります。

実績サイトが現在も稼働しているか。URLをクリックして確認しましょう。リンク切れや放置状態のサイトが多い会社は、公開後のフォローに不安が残ります。

デザインだけでなく、成果の数字を聞けるか。「問い合わせが月○件増えた」「検索順位が○位上がった」といった成果ベースの説明ができる会社は、戦略的な制作ができる可能性が高いと判断できます。

約3社 以上の相見積もりが適正価格を把握するための最低ライン。1社だけの見積もりでは、高いのか安いのか判断できない

避けるべき制作会社の特徴

以下に該当する制作会社は、契約前に慎重な判断が必要です。

制作会社選びの最重要基準は「金額の安さ」ではなく「見積もりの透明性」と「公開後の成果にコミットする姿勢」。この2点を軸に比較すれば、大きな失敗は避けられる。

依頼前に社内で決めておくべきこと

「誰が」「何を」更新するのかを決める

ホームページは作って終わりではありません。公開後の更新・運用体制を、制作前に決めておくことが重要です。

ブログやお知らせの更新は自社で行うのか、制作会社に月額で依頼するのか。担当者は誰か。更新頻度はどの程度か。これらが曖昧なまま制作を始めると、公開後に「誰も更新しないサイト」ができあがります。

総務省の調査によると、企業Webサイトの約40%が半年以上更新されていないとされています。更新されないサイトは、検索エンジンからの評価が下がるだけでなく、訪問者に「この会社は活動しているのか」という不安を与えます。

KPI(成果指標)を1つだけ決める

KPIとは、サイトの成果を測るための指標です。「月間の問い合わせ件数」「資料請求数」「採用エントリー数」など、ビジネスの目的に直結する指標を1つだけ決めてください。

複数のKPIを追いかけると、どれも中途半端になります。最も重要な1つに絞り、制作会社にも共有することで、デザインや導線設計の判断基準が明確になります。

公開後のスケジュールを逆算する

制作期間は規模に応じて1〜4か月が一般的。ここに、社内の素材準備期間(2〜4週間)と、確認・修正のやり取り(2〜3週間)を加えると、依頼から公開まで最短でも2か月、余裕を見て4〜5か月は確保したいところです。

「来月には公開したい」という急ぎの依頼は、特急料金が発生するか、品質を妥協するかのどちらかになります。年度替わり・新サービス開始など、公開希望日が決まっている場合は、その3〜5か月前から動き始めるのが理想です。

まとめ

ホームページ制作の費用は「目的」で決まります。名刺代わりなら15万〜50万円、集客目的なら50万〜150万円が現実的な目安。見積もりは金額の安さではなく内訳の透明性で比較すること。

まず今日やるべきことは、「このサイトで何を達成したいか」を1文で書き出すこと。その1文が、適正な予算・最適な依頼先・成果の出るサイト設計、すべての起点になります。

この記事を書いた会社

株式会社オフィスVONDS

山梨県甲府市を拠点に、SEO対策・ホームページ制作・WEBマーケティング・AI活用支援を提供。「信頼をデジタルで可視化する」をモットーに、中小企業のDX推進をサポートしています。

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